7歳までに一生使う足が形作られるって知っていましたか?

一生使う足が形作られる幼児期。赤ちゃんの足はレントゲンでは写らない骨化していない軟骨部分が多くとても柔らかいです。
ハイハイから歩行動作を体験し、習得していく大人の足のトラブルの原因は、幼児期の靴選びが大きく関わっていることが分かっています。
大人になった時に、元気に歩き健康的な生活を送るために、お子様一人一人の足の特徴と発達段階に合わせた靴選びが重要です。

足と靴の専門的な知識とフィッティング技術を持った「上級シューフィッター」兼「幼児子ども専門シューフィッター」がカウンセリング致します。



幼児期の神経系の発達


20歳になるまでの身体の機能や臓器の発達、発育量をグラフ化した「スキャモンの発達・発育曲線」(図1)というものがあります。この曲線を見るとリズム感や体を動かすことの器用さを担う「神経型」が幼児期の5歳までに発育量が成人の約80%に達することが分かります。特に2歳までの発育速度は速いです。




また同時に身体の姿勢や運動中の平衡を調整や維持したりする様々な「姿勢反射」というものを獲得する重要な時期でもあります。
この時期での靴の役割は「バランス感覚、歩行運動動作の補助」になります。それに対する靴の機能としては「固定性」「踵の支持性」「安定性」「フィット性」です。大きすぎる靴、柔らかすぎる靴では足が靴の中で固定されず、前滑りなどを起こし地面に対する足裏の認識のずれが生じ、神経系の発達には適していないと考えられています。


【足の骨格形成】

赤ちゃんの足は生まれてきたときは不完全で骨化していない軟骨の部分が多く、柔らかい足をしています。写真(図2)の白く写っていない骨と骨の間の空間はレントゲンでは写らない軟骨の部分です。1歳ではもちろん5歳でもまだまだ軟骨の部分が多く、特に体重や歩行時の衝撃を受ける後足部(甲から踵)にかけてはまだまだ軟骨の部分があり、靴で守ってあげる必要があります。(骨化が完了するのは13~14歳頃です)


歩行時の衝撃吸収、体重移動をスムーズにするために重要な働きをする「土踏まず」は通常3歳から観察され、小学校に上がる7歳ごろにはしっかりと出来あがりますが、近年骨の結合組織(関節)の柔らかい子どもは土踏まずが形成されにくいことが分かってきています。靴文化の先進国であるドイツでは土踏まずが出来ないリスクを回避するために、土踏まずが出来始めるより前から踵を支えられる強度をもつ靴、甲でしっかりと足を固定させられる紐、又は折り返しの面ファスナーの靴を推奨しています。またドイツ靴工業協会が認定する足長だけでなく足幅、踵幅、屈曲位置なども定められた「WMS規格」というものがあり、日本のように「子どもの好み」や「1人で履けるかどうか」、ではなく足の発達、成長を第一に靴作り、靴選びを考えています。(練習すれば幼児でも1人で正しく履けるようになります)

【幼児期に必要な靴の機能】

幼児期は一生のなかでも体が著しく発達、成長する大切な時期です。子どもの足の特徴に合わせて適切な靴選びが大切です。「神経系」「運動」「骨格」それぞれの発達の妨げにならない、又は補助できる機能が幼児期の靴には必要となります。それらを以下にまとめました。(図3)

  1. 【適切なスペース】足の成長と指の動きを妨げない爪先のゆとりのある高さ
  2. 【固定力】簡単に着脱ができ、歩行時にしっかりと固定できる留め具
  3. 【軽量性・屈曲性】歩きやすさの為に、適度な重さと適切な位置で屈曲するソール
  4. 【安定性・衝撃吸収性・耐久性】路面からの負担を軽減し、安定性と耐久性を伴ったアウトソール
  5. 【しっかりとした支持性】不安定な踵の骨と関節を適切に支えるカウンター形状(図4)



履き方・脱ぎ方も重要


いくら機能の高い靴でも、「履き方」が悪く“ゆるゆる”に履いてしまうとせっかくの機能が発揮されません。「靴の履き方の例」を参考に子どもの自主性を尊重しつつ履かせてください。最終的には子ども自身が1人で靴を正しく履けることが目的ですので、最初から最後までも手伝うのではなく、最後に大人の方がベルトを締め直して頂ければよいと思います。(脱ぐときは面ファスナーを緩めて脱ぐことがポイントです)靴をしっかりと履いた後のフィット感も幼児期の皮膚感覚を育てるのには重要で、その後の靴選びに大切な要素となります。